【建設業許可】許可の要件④請負契約を履行するに足る財産的基盤又は金銭的信用を有していること

今回は許可の要件④の財産的基礎についてお話しします。

他の要件は、建設業許可を取得後もクリアしている必要がありますが、今回の要件である財産的基礎は、あくまでも建設業許可の申請段階で資産があるかを判断することになります。

許可の基準は一般建設業と特定建設業とで異なります。

【一般建設業の要件】

一般建設業の場合は、次の基準のいずれかをクリアすることが必要です。

a. 自己資本が500万円以上

自己資本とは、会社の直近の決算書の「貸借対照表」の右下にある「純資産の部」という項目を確認します。純資産の部の合計として「純資産合計」という金額があります。建設業許可取得の際には、この「純資産合計」を「自己資本」と読み替えて差し支えありません。資本金ではなく「決算書の純資産」と考えてください。

b. 500万円以上の資金調達能力があること

直近の決算書で純資産が500万円以下の場合です。次の決算まで待たなくとも、500万円以上資金調達することができる(500万円を
手元に用意できる)ことを証明すれば、要件をクリアしたことになります。例えば「金融機関からの融資可能証明書」「銀行預金口座の残高証明書」などで500万円以上の資金調達能力を証明することがあります。
★ただし、この「資金調達能力がある」ことを証明する方法は、申請する都道府県等により取扱が異なりますので、事前にご確認ください。

c. 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること

過去に5年間以上継続して許可を受けて営業している事業者は、建設工事の請負について一定以上の資産を維持しているとみなされます。よって、5年以上継続して許可を維持していれば、財産的基礎の要件をクリアしているとみなされます。

【特定建設業の要件】

特定建設業の場合は、次の要件をすべてクリアしなければいけません。

a. 欠損の額が資本金の20%を超えないこと

特定建設業許可では、申請直前の決算において欠損比率が20%以下でなければなりません。
【欠損比率の計算式】

法人の場合  欠損の額 ÷ 資本金額 × 100%=欠損比率

個人の場合 欠損の額 ÷ 期首資本金額 × 100%=欠損比率

※欠損の額とは

法人の場合  マイナスの繰越利益剰余金額の絶対値-(資本剰余金+利益準備金+その他の利益剰余金(繰越利益剰余金を除く))=欠損額

個人の場合 事業主損失-(事業主借勘定-事業主貸勘定+利益留保性引当金+準備金)=欠損額

ここは少しややこしいので、分からない場合は専門家に相談されることをお勧めいたします。

b. 流動比率が75%以上

「流動比率」とは…貸借対照表の流動資産を流動負債で割り、得た数値を百分率で表したものです。
【流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100%】
例えば、流動資産合計額が3,000万円、流動負債合計額が3,500万円の場合は流動比率は約85%となり、基準をクリアします。

※流動資産…貸借対照表の「資産の部」に含まれ、1年以内に現金化できる資産のこと。現金や預金、受取手形、売掛金、棚卸資産、前渡し金、前払い金、短期貸付金など。

※流動負債…負債のうち、短期間で支払期限が到来する債務、または正常な営業サイクルの中で発生した債務買掛金、支払手形、未払金、未払法人税、短期借入金、 前受金など。

c. 資本金が2,000万円以上で自己資本が4,000万円以上

資本金は、申請直前の決算期における財務諸表で資本金の額を確認します。これが2,000万円以上必要です。

自己資本金は、一般建設業と同様、「直近の貸借対照表における純資産の額」で考えます。ここが4,000万円以上必要ということです。

※申請までに資本金が2,000万円に不足している場合は、増資によって条件をクリアできることがあります。詳しくは各都道府県にご確認ください

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