IT導入補助金の申請方法とポイント
中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際、その費用の一部を補助してくれる「IT導入補助金」。近年、業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れの中で、多くの事業者が活用しています。この記事では、IT導入補助金の申請方法と押さえておきたいポイントについて、わかりやすく解説します。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が業務効率化や売上アップを目的にITツールを導入する際の費用を一部補助する制度です。導入できるのは、国の認定を受けた「IT導入支援事業者」が提供するツールに限られます。
主に以下の2つの類型があります。
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通常枠(A・B類型):業務効率化のためのソフトウェア導入等に対応
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デジタル化基盤導入枠(デジタル化枠):会計・受発注・決済・ECなどに特化したデジタル化を推進
申請の基本的な流れ
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IT導入支援事業者を選ぶ
導入を希望するITツールが登録されているか、公式サイトから確認します。ツール選定と導入支援は、事業者と二人三脚で進めます。 -
gBizIDの取得
補助金申請には「gBizIDプライムアカウント」が必要です。事前に取得しておきましょう(取得まで数週間かかることがあります)。 -
SECURITY ACTIONの宣言
サイバーセキュリティ対策に関する自己宣言(★一つ星)を行う必要があります。IT導入補助金の申請前に済ませておきましょう。 -
申請内容の準備・申請
導入予定のITツール、事業計画、経費の見積もりなどを用意し、IT導入支援事業者とともに補助金ポータルから申請します。 -
交付決定後に導入・支払い
補助金は事後払いです。交付決定前に契約・支払いを行った場合、補助対象になりません。 -
実績報告と補助金の受取
導入後に実績報告を行い、問題がなければ補助金が交付されます。
申請のポイント
✅ 交付決定前に契約・支払をしない
最も多いミスのひとつです。交付決定通知を受けるまでは契約や支払いはNG。必ず順序を守りましょう。
✅ 信頼できるIT導入支援事業者を選ぶ
ツールの選定・申請書作成・実績報告まで伴走してくれる事業者を選ぶことが、成功のカギになります。
✅ 補助率と上限を確認する
■ IT導入補助金:補助率・補助上限比較表(2025年度)
申請類型 | 対象内容 | 補助率 | 補助上限額 |
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通常枠 A類型 | ITツール(単体導入) | 1/2以内(※一部2/3) | ~150万円未満 |
通常枠 B類型 | ITツール(複数導入) | 1/2以内(※一部2/3) | 150万円以上~450万円 |
デジタル化基盤導入枠 | ソフトウェア導入 | 50万円以下:中小3/4・小規模4/5 50万円超~350万円以下:2/3 |
~350万円 |
PC・タブレット等(業務用) | 1/2以内 | 10万円 | |
レジ・券売機等 | 1/2以内 | 20万円 | |
複数社連携IT導入枠 | ソフトウェア導入 | デジタル化基盤枠と同じ | ~350万円×構成員数 |
PC・タブレット等 | 1/2以内 | 10万円×構成員数 | |
レジ・券売機等 | 1/2以内 | 20万円×構成員数 | |
消費動向等分析経費 | 2/3以内 | 50万円×構成員数 | |
その他(事務費・専門家費等) | 2/3以内 | 200万円 | |
総補助額の上限 | – | 最大3,000万円 |
※補助率2/3や3/4、4/5などの適用には条件があります。
※申請前に「gBizIDプライム」アカウント取得や「SECURITY ACTION」宣言が必要です。
詳細な情報や最新の公募要領については、公式サイト(https://it-shien.smrj.go.jp/)をご確認ください。
✅ 事業計画書は具体的に
「ITツールを導入して何が変わるのか?」を具体的に記載することが重要です。売上向上、業務効率化、人手不足解消など、明確な目的を示しましょう。
まとめ
IT導入補助金は、中小企業にとって大きな支援策です。ただし、申請手順を正しく踏まないと不採択や補助対象外になってしまうリスクも。信頼できるIT導入支援事業者と連携し、事前準備をしっかり行いましょう