ものづくり補助金の申請方法とポイント

中小企業や小規模事業者が新たな設備投資やサービス開発にチャレンジする際に、活用できる代表的な補助金のひとつが「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)」です。
本記事では、申請方法と、採択されるためのポイントをわかりやすく解説します。

1. ものづくり補助金とは?

目的
中小企業等が革新的なサービス開発や設備投資を通じて、生産性の向上や業務改善を図る取り組みに対して、国が費用の一部を支援する制度です。

補助対象となる主な取組例

  • 自動化・省力化のための機械導入

  • 新商品の開発・試作

  • 業務システムの導入(ERPなど)

補助率・補助上限額(2025年5月現在)

  • 補助率:1/2(小規模事業者や一定条件で2/3)

  • 上限額:通常枠で750万円〜1,250万円(枠により異なる)

■ ものづくり補助金の対象となる事業と購入できるもの(例)

主な事業類型 事業内容の具体例 補助対象となる購入物・経費の例
製造業の自動化・省力化 製品製造ラインの効率化、自動化 NC旋盤、3Dプリンタ、溶接ロボット、自動搬送装置、検査装置など
新商品・新サービスの開発 既存にはない独自の製品やサービスを開発 試作機の導入、分析・測定機器、試作品の材料費、技術開発に必要なソフトウェアなど
IT・デジタル化の推進 生産管理のデジタル化、在庫管理や業務効率化 ERP・在庫管理ソフト、業務システム開発費、CAD/CAMシステム、IoT機器の導入など
食品加工・衛生向上 衛生管理や品質保持を目的とした改善 真空包装機、冷凍・冷蔵設備、HACCP対応機器、食品検査機器など
環境対応・省エネ化 エネルギー効率の向上、脱炭素化 省エネ型空調設備、LED照明、自動停止機能付き装置、省電力対応機器など
医療・介護・福祉分野への展開 新しい医療用機器・介護用品の製造・提供 医療用測定機器、介護支援ロボット、リハビリ機器、IoT健康管理機器など
建設・工事業の高付加価値化 現場作業の省力化、安全管理の強化 ドローン、測量機器、ICT建設機械、3Dスキャナ、遠隔監視システムなど

■ 注意点

  • 単なる老朽化設備の更新は対象外になることがあります(「革新性」が求められます)。

  • 中古機械や汎用PCのみの購入など、目的に合わない支出は補助対象外になる場合があります。

  • 補助対象は、あくまで「事業計画に基づく必要な投資」です。

2. 申請までの流れ

申請には以下のステップがあります。

① 公募要領の確認

まず、公式サイトで最新版の公募要領をダウンロードし、申請要件や審査項目を確認しましょう。

② GビズIDの取得

申請には「GビズIDプライムアカウント」が必須です。取得には2〜3週間かかるため、早めの申請を。

③ 事業計画の作成

申請の核となる部分。以下の内容を含めて作成します。

  • 経営課題とその解決方法

  • 導入する設備やシステムの詳細

  • 今後の売上・利益の見込み

  • 事業の革新性と波及効果

④ 電子申請(Jグランツ)

Jグランツという国のオンライン申請システムを使って提出します。
申請期限に余裕を持ち、事前に操作を確認しておきましょう。

3. 採択されるためのポイント

① 「革新性」と「実現可能性」を具体的に示す

単なる設備更新ではなく、どのように事業が変わるかを明確に記載しましょう。
数値目標(売上、利益、コスト削減など)も重要です。

② 地域経済や取引先への波及効果をアピール

自社だけでなく、地域や業界全体への影響も評価対象となります。

③ 経営の持続性・収益性

補助金終了後も安定して事業が継続できる根拠(既存事業の実績、資金繰り計画など)を盛り込みましょう。

④ 誤字脱字や不明瞭な表現に注意

審査員が読みやすいよう、構成や日本語にも注意が必要です。第三者にチェックしてもらうのもおすすめです。

4. まとめ

ものづくり補助金は、革新的なチャレンジを支援する大きなチャンスです。しかし、採択されるには入念な準備と戦略的な事業計画が必要です。

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