【旅館業と非常用照明】民泊との違いは?

前回の記事では、民泊(住宅宿泊事業)における非常用照明器具の設置基準について解説しました。
今回は、もう一つの宿泊形態である**「旅館業」**について、非常用照明がどのように求められているのかをわかりやすく説明します。

1. 旅館業法が適用される施設とは?

「旅館業」とは、

  • 旅館・ホテル営業

  • 簡易宿所営業

  • 下宿営業
    の3つを指します。

いずれも「宿泊料を受けて、人を宿泊させる」事業であり、年間営業日数に制限はありません
この点が、年間180日以内しか営業できない民泊(住宅宿泊事業)との大きな違いです。

そのため、旅館業を営むには、都道府県知事などの許可が必須となります。

2. 旅館業における「安全確保」の義務

旅館業法では、営業者に対して以下のような義務が課せられています。

宿泊者の衛生・安全のため、換気・採光・照明・防湿・清潔などの措置を講じること。

ただし、非常用照明器具の設置などの具体的な設備基準は、旅館業法ではなく、
建築基準法消防法によって細かく定められています。

つまり、旅館業の営業許可を取るには、
「保健所の審査」だけでなく「建築・消防の基準」にも適合している必要があります。

3. 建築基準法による非常用照明の設置義務

旅館・ホテル・簡易宿所などの施設は、建築基準法上「特殊建築物」に分類されます。
このため、より厳しい安全基準が適用されます。

特に次のような建物では、非常用照明装置の設置が義務です。

  • 階数が3以上の建物

  • 窓などの開口部がない居室を有する建物

  • 延べ面積が1,000㎡を超える建物

  • 劇場、映画館、旅館、病院などの「特殊建築物」

非常用照明装置とは、停電などの非常時に自動で点灯し、避難経路を照らす設備のことです。
建築基準法施行令第126条の5では、耐熱性や停電時の点灯性能など、技術的な基準が定められています。

4. 消防法上の義務:誘導灯との関係

消防法の面から見ると、旅館業の施設は、
「不特定多数の人が利用する建物」として扱われます。

そのため、「特定防火対象物」(宿泊施設(5)項イなど)に分類され、火災時の避難誘導に関する設備が義務付けられます。

🔸 誘導灯の設置義務

出入口・通路・階段などには、避難方向を示す誘導灯を設置する必要があります。
誘導灯は配線を伴う設備で、停電時でも点灯し続けるよう設計されています。

🔸 特例:誘導灯を免除できる場合

建物の構造や規模によっては、誘導灯の設置が免除される場合もあります。
その際は、代わりに以下のような措置が求められます。

  • 夜間の停電時でも避難経路が見えるよう、
     廊下などに非常用照明装置を設置する
     または
     各部屋に携帯用照明器具を備える

この「非常用照明装置」は、建築基準法施行令第126条の4に定めるものや、
住宅宿泊事業法第6条で求められる設備でも認められます。

5. まとめ:旅館業は民泊よりも厳格な安全基準が必要

比較項目 民泊(住宅宿泊事業) 旅館業
法的根拠 住宅宿泊事業法 旅館業法+建築基準法+消防法
営業日数 年180日以内 制限なし
許可・届出 届出制 許可制
非常用照明 民泊法で直接義務化 建築・消防法令で義務化
安全基準 一般住宅レベル 商業施設レベル(特殊建築物)

旅館業の施設は、「営業用建物」としての厳しい安全基準が求められます。
営業許可を取る際は、

  • 保健所(旅館業許可)

  • 建築指導課(建築基準法)

  • 消防署(消防法)
    の3つの窓口で、事前相談と確認を行うことが非常に重要です。

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