離婚協議書に盛り込むべき内容とは?

離婚を考えたとき、法律上は「話し合いで合意ができれば離婚は成立する」とされています。
ですが、実際には子どものこと、生活のこと、お金のことなど、話し合っておくべき大切なことがたくさんあります。

中でも重要なのが、離婚後のトラブルを防ぐための「離婚協議書」の作成です。この記事では、行政書士としてお手伝いできる離婚協議書の作成について、特に子どもに関する取り決めを中心に、記載すべき代表的な内容をご紹介します。

離婚協議書とは?

離婚協議書とは、協議離婚において夫婦間で合意した内容を文書にまとめたものです。
法的に義務ではありませんが、後々「言った・言わない」のトラブルを防ぐために、書面で明確に残すことがとても大切です。

行政書士は、当事者間で合意ができている内容を、法的に整った書式で文書化する専門家です。争いがある場合は弁護士の関与が必要ですが、合意済みの内容であれば、中立的に協議書の作成をお手伝いできます。

離婚協議書に盛り込むべき主な内容

1. 子どもに関する取り決め

親権者の指定(未成年の子がいる場合)

  • 離婚届に記載する親権者(父か母)を明記

  • 複数の子がいる場合、それぞれの親権者を記載

  • 子の戸籍や氏の変更についての合意もあれば記載

ポイント:離婚届を提出する際、親権者を一人に定めて記載することが法律上の要件です。離婚協議書にも、誰が親権者になるのかをはっきり記載しておきましょう。

養育費の取り決め

  • 月額の金額、支払時期、支払方法(銀行振込など)

  • 支払い開始時期と終了時期(通常は成人または卒業時まで)

  • 進学・医療費などの負担に関する取り決め

補足:養育費には「算定表」と呼ばれる目安がありますが、最終的には当事者間の合意が優先されます。協議内容を明確に残しておくことが大切です。

面会交流の方法

  • 面会の頻度、曜日・時間帯

  • 面会の場所、送迎の方法

  • 電話・手紙・SNS等での連絡の可否

実務の工夫:「原則として月1回」「学校行事の参加についても相談する」など、ある程度柔軟な書き方にしておくと、将来の事情変更にも対応しやすくなります。

2. 財産・お金に関する取り決め

財産分与

  • 不動産、預貯金、保険、車などの名義変更や分割方法

  • ローンや借金の負担者

  • 分与の方法(一括払・分割など)

注意点:名義変更には別途登記手続きや銀行での手続きが必要な場合があります。協議書にはそれらの準備も含めて明記しておくのがベターです。

慰謝料(合意がある場合)

  • 金額、支払い方法、支払い期限など

年金分割の合意(該当する場合)

  • 年金分割の合意の有無

  • 按分割合などの内容

補足:厚生年金の分割には、年金事務所への申請が必要です。協議書にはその合意内容を記載し、別途申請を行っていただく形になります。


行政書士がお手伝いできること

行政書士は、離婚に際して合意された内容を、法的に整った文書に落とし込むプロフェッショナルです。具体的には:

  • 離婚協議書の作成・文案作成

  • 公正証書化を前提とした下書き作成

  • 公証役場での手続きの説明

  • 委任状や合意書などの関連文書の作成

※当事者間で意見の対立がある場合や、相手方と交渉が必要な場合は、弁護士にご相談いただく必要があります

公正証書にしておくと安心です

養育費や慰謝料、財産分与など、金銭の支払いが関わる項目については、公正証書にしておくことで強制執行(差押え)が可能になる場合があります。

まとめ|未来の安心のために、今しっかり話し合いを

離婚協議書は、お互いの「けじめ」であると同時に、お子様の未来を守るための重要な約束ごとでもあります。
感情が揺れ動く時期だからこそ、冷静に、文書でしっかりと合意を残しておくことが、お互いの再スタートを支える一歩になります。

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