3階建て一戸建てで民泊はできる?必要な設備と注意点

近年、外国人観光客の増加や国内旅行需要の高まりから「自宅の一部を民泊として活用したい」という相談をいただく機会が増えています。
今回は「3階建ての一戸建てで民泊はできるのか?」という疑問について、建築基準法や消防法の観点から整理してみます。


① 3階建て一戸建てで民泊は可能か?

結論から申し上げると 可能ですが、様々な制約を受けます
ただし、民泊は宿泊者の安全を確保するために、建築基準法や消防法に基づいた一定の設備を整える必要があります。これらを満たして初めて、安心して営業を行うことができます。

② 建築基準法上の設備について(住宅宿泊事業法安全措置)

3階建ての建物を民泊(住宅宿泊事業)に活用する場合、避難経路の確保や火災時の安全性が特に重要です。そのため、法令に基づき以下のような設備・対策が必要となります。

【原則】 宿泊者使用部分を3階以上の階に設けないこと。
【例外(3階・4階を宿泊室にできる緩和要件)】 届出住宅の延べ面積が200㎡未満であり、かつ、以下の2つの基準に適合する場合(届出住宅が耐火建築物である場合は除く)は、3階(基準を満たせば4階)を宿泊室として利用できます。(平成29年国土交通省告示第1108号第二第二号ホ)
1.警報設備(自動火災報知設備等)が設けられていること
2.竪穴(たてあな)部分とそれ以外の部分とが、間仕切壁又は戸(遮煙性能付き)で区画されていること(=竪穴区画の設置

【重要なポイント】「竪穴区画(たてあなくかく)」とは?

木造3階建ての戸建てを民泊にする際、最も高いハードルとなるのが「竪穴区画」の設置です。

火災が発生した際、煙や炎は階段(上下に貫通しているスペース)を通じて、一瞬にして上の階へと燃え広がってしまいます。就寝中の宿泊者が逃げ遅れるのを防ぐため、「階段スペース」と「各階の居室(廊下含む)」の間を炎や煙から遮断する仕組みを作らなければなりません。

具体的な対策として、以下のいずれかの改修工事が求められます。

対策A:階段の入り口に「防火・遮煙ドア」を設置する
階段の昇降口(1階・2階・3階の各入り口)に、火災の熱で自動的に閉まり、煙を遮断する性能を持った「防火戸(遮煙性能付きドア)」を新設し、階段室自体を完全に独立した空間に囲い込みます。

対策B:各室のドアをすべて「防火・遮煙ドア」にする(廊下を階段の一部とみなす)
すべての部屋(寝室、リビング、洗面所、トイレ等)の出入り口に、遮煙性能を持ったドア(戸)が設置されており、壁も隙間なく作られている必要があります。(注意点: ドアのないオープンスペース(リビング階段や、建具のない和室など)がある場合はそのままでは認められません。必ず仕切り壁を立てるか、適合するドアを新設する必要があります)

また、これらのドアには「火災時に火災報知器と連動して自動で閉まる、または常時閉鎖していること(ドアクローザー付き)」や「避難時に鍵を使わずに開けられること」といった細かい技術基準が定められています。

  • 非常用照明器具
     停電時でも避難経路を確保できるよう、非常用照明を設置します。設置個所は構造によりますので、個別の調査が必要です。

一戸建て住宅(一般住宅)として建てられた木造3階建ては、多くの場合この「竪穴区画」が施されていません。民泊へ転用するにあたっては、壁の補強やドアの交換など大きな改修費用が発生するケースが多いため、計画の段階で必ず建築士などの専門家や自治体の窓口へ図面を持参して相談しましょう。

③ 消防法上の設備について

続いて、消防設備について確認しておきましょう。3階建て一戸建てを民泊にする場合、次のような設備が必要です。

  • 特定小規模施設用自動火災報知機
     宿泊施設では火災の早期発見が命を守ります。特定小規模施設用の火災報知機を設置することで、火災発生時にすぐに警報が鳴り、宿泊者に避難を促すことができます。

  • 消火器(キッチンに設置)
     火の使用があるキッチンには消火器の設置が必須です。初期消火が可能であれば、大きな被害を防ぐことにつながります。

  • 避難誘導灯
     夜間や停電時でも避難経路が分かるように、避難誘導灯を設置する必要があります。特に階段や出口付近に配置することで、宿泊者が安心して避難できます。

まとめ

3階建て一戸建てでも、必要な建築基準法・消防法の設備を整えれば民泊を行うことは可能です。

  • 建築基準法上の対応
     - 階段への扉設置
     - 3階各部屋の扉の有無確認
     - 非常用照明器具の設置(3か所)

  • 消防法上の対応
     - 特定小規模施設用自動火災報知機
     - キッチンに消火器
     - 避難誘導灯

民泊は「ただ泊まれる場所を提供する」だけでなく、宿泊者の命を守るための安全対策が不可欠です。これらの設備を整えた上で、許可申請や届出を行うことが重要です。

当事務所では、民泊に関する法的手続きや設備のチェックについてもご相談を承っております。民泊を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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