2027年スタート予定「育成就労制度」とは? 技能実習制度からの転換
外国人材の受け入れ制度「技能実習制度」が見直され、新たに「育成就労制度」が導入されます。
スタートは2027年4月の予定です。
この記事では、制度の概要や背景、企業が今から準備しておくべきポイントについて、行政書士の立場からわかりやすく解説します。
■ 育成就労制度とは
「育成就労制度」は、外国人が日本の職場で働きながら成長できるよう支援する新しい制度です。
これまでの技能実習制度では「国際貢献」という名目が前面に出ていましたが、実際には「人手不足対策」としての側面が強く、制度の目的と現実が乖離しているとの指摘が多くありました。
その反省を踏まえ、育成就労制度では、
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労働者としての権利を尊重し、
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適正な待遇を確保しながら、
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日本の産業を支える人材を育てていくこと
が目的とされています。
■ 制度創設の背景
技能実習制度では、
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転職(転籍)がほぼ認められない
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長時間労働や低賃金などの問題
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実習と称しながら単純労働に従事するケース
といった課題が指摘されてきました。
こうした問題を解決し、外国人がより安定した環境で働けるようにするために、政府は2024年に関連法を成立させ、段階的に新制度へと移行する準備を進めています。
■ 育成就労制度のポイント(技能実習との違い)
※現時点での情報を基に作成しております。今後変更になる可能性もありますので、ご注意ください。
項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度(新制度) |
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制度目的 | 国際貢献(技能移転) | 人材育成と労働力確保 |
転籍 | 原則禁止 | 一定条件で可能となる見込み(1〜2年勤務後) |
在留期間 | 最長5年 | 最長5年(特定技能への移行も可) |
監理団体 | 登録監理団体 | 新たに「監理支援機関」を設置 |
賃金 | 最低賃金以上 | 日本人と同等の待遇を目指す方向 |
このように、新制度では「外国人=労働者」としての位置づけが明確になります。
そのため、企業にはより適正な雇用管理・労務対応が求められます。
■ 導入スケジュール(予定)
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2024年:関連法成立
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2025〜2026年:制度整備・試行的運用
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2027年:育成就労制度スタート(技能実習制度は段階的に廃止)
※監理支援機関の登録制度や転籍手続きの詳細は、これから具体化されていく予定です。
■ 企業が準備しておくべきこと
育成就労制度が始まる前に、受け入れ企業は次の点を確認しておくことが重要です。
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外国人を雇用する際の労働条件や契約書の見直し
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教育体制・OJT(現場指導)の仕組みづくり
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転籍希望者への対応方針
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特定技能への移行を見据えたキャリア支援
制度の趣旨を理解し、外国人が「働きやすい・成長できる」環境を整えることが、結果的に企業の安定した人材確保にもつながります。
■ まとめ
「育成就労制度」は、外国人が日本で安心して働き、成長できる仕組みを目指した制度です。
企業側も、単なる人手確保という側面だけではなく「人材育成」の側面からも捉え直すことが求められます。
制度が正式に始まる2027年まであと少し。
今から情報を整理し、受け入れ体制を整えていきましょう。