離婚後に「約束が守られない」…そんなときに役立つ“公正証書”とは?
離婚後、「養育費が支払われない」「約束した面会交流が守られない」など、取り決めが反故にされてしまうトラブルは少なくありません。
そんなときに役立つのが 「公正証書(こうせいしょうしょ)」 です。この記事では、
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公正証書とは何か
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離婚協議書との違い
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公正証書を作成するメリット
をわかりやすく解説します。
🔹 公正証書とは?
公正証書とは、公証役場の 「公証人」 が作成する、法律に基づいた公式な文書のことです。
離婚に関しては、次のような内容を記載できます。
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養育費の金額・支払方法・期間
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財産分与や慰謝料の内容
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面会交流の取り決め
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清算条項(これ以上請求しないという合意)など
最大の特徴は、「強制執行認諾文言」 を入れることができる点です。
これはつまり、「約束が守られなかった場合、裁判を経ずに給与や財産の差し押さえができる」という強い効力を持つ条文です。
🔹 離婚協議書との違いは?
比較項目 | 離婚協議書(自作) | 公正証書(公証役場で作成) |
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作成者 | 当事者(夫婦) | 公証人(法の専門家) |
証明力 | 低い(私文書) | 高い(公文書) |
強制執行力 | なし | あり(強制執行認諾文言付きの場合) |
費用 | ほぼ無料 | 数万円程度(内容による) |
離婚協議書は自分たちで自由に作成できますが、法的拘束力や執行力が弱いのが難点です。
一方、公正証書であれば、第三者(公証人)の確認のもとで作成され、万が一のときの「保険」にもなります。
🔹 公正証書を作成するメリット
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強制執行が可能になる
養育費などが滞った場合、裁判をせずに差押えができる。 -
証拠力が強い
将来的な争いを防ぐための、確かな証拠となる。 -
第三者の目でチェックされる安心感
公証人が内容を確認してくれるため、偏った内容になりにくい。 -
相手の「支払う意識」が変わる
公正証書があることで、心理的にも「約束は守らなければならない」と感じやすくなる。
🔹 公正証書の作成の流れ
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夫婦で離婚条件について合意する
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行政書士など専門家に内容の相談(任意)
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必要書類を準備し、公証役場に相談・予約
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公証人と面談し、公正証書を作成
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公証役場で原本を保管。正本・謄本を受け取る
🔹 まとめ
離婚後のトラブルを防ぐためにも、口約束や自作の協議書だけでなく、公正証書の作成を強くおすすめします。
「約束は守られるだろう」と思っていても、環境や気持ちは変わるもの。
後から「言った・言わない」の争いにならないように、しっかりと書面に残しておきましょう。
不安な方は、行政書士などの専門家に一度ご相談ください。