3階建て一戸建てで民泊はできる?必要な設備と注意点
近年、外国人観光客の増加や国内旅行需要の高まりから「自宅の一部を民泊として活用したい」という相談をいただく機会が増えています。
今回は「3階建ての一戸建てで民泊はできるのか?」という疑問について、建築基準法や消防法の観点から整理してみます。
① 3階建て一戸建てで民泊は可能か?
結論から申し上げると 可能です。
ただし、民泊は宿泊者の安全を確保するために、建築基準法や消防法に基づいた一定の設備を整える必要があります。これらを満たして初めて、安心して営業を行うことができます。
② 建築基準法上の設備について
3階建ての建物を民泊に活用する場合、避難経路の確保や火災時の安全性が特に重要です。そのため、以下のような設備が必要となります。
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階段部分
廊下から直接部屋へ出入りできる構造であれば、火災時に煙や炎が一気に広がる危険があります。そのため、階段の入り口に扉を設置することが求められます。すべての部屋にドアがついていれば追加の扉は不要です。しかし、ドアがない部屋がある場合は仕切りとして扉を設置し、火災時の延焼や煙の拡散を防ぐ必要があります。
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非常用照明器具
停電時でも避難経路を確保できるよう、非常用照明を設置します。設置個所は構造によりますので、個別の調査が必要です。
これらは一見細かい規定に思えるかもしれませんが、宿泊者が慣れない環境で過ごす以上、万一の際に命を守るための大切な仕組みです。
③ 消防法上の設備について
続いて、消防設備について確認しておきましょう。3階建て一戸建てを民泊にする場合、次のような設備が必要です。
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特定小規模施設用自動火災報知機
宿泊施設では火災の早期発見が命を守ります。特定小規模施設用の火災報知機を設置することで、火災発生時にすぐに警報が鳴り、宿泊者に避難を促すことができます。 -
消火器(キッチンに設置)
火の使用があるキッチンには消火器の設置が必須です。初期消火が可能であれば、大きな被害を防ぐことにつながります。 -
避難誘導灯
夜間や停電時でも避難経路が分かるように、避難誘導灯を設置する必要があります。特に階段や出口付近に配置することで、宿泊者が安心して避難できます。
まとめ
3階建て一戸建てでも、必要な建築基準法・消防法の設備を整えれば民泊を行うことは可能です。
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建築基準法上の対応
- 階段への扉設置
- 3階各部屋の扉の有無確認
- 非常用照明器具の設置(3か所) -
消防法上の対応
- 特定小規模施設用自動火災報知機
- キッチンに消火器
- 避難誘導灯
民泊は「ただ泊まれる場所を提供する」だけでなく、宿泊者の命を守るための安全対策が不可欠です。これらの設備を整えた上で、許可申請や届出を行うことが重要です。
当事務所では、民泊に関する法的手続きや設備のチェックについてもご相談を承っております。民泊を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。